平行リンクを考える2

センターまであと一ヶ月、realteckです。

急遽記事を書くことにしました。まさかパート2を書くことになるとは。

実は先日書いたバネ機構の記事にコメントをもらいまして、返信で平行リンクについて説明しようと思ったのですが、文章の量が多くなりそうなので新記事として書きます。考察です。質問への返信も兼ねているのでかなり説明口調なうえに知ったか乙みたいになりますが、熱くスルーしてください。

まず経緯を含めて問題(質問)を整理すると

平行リンクが一方向に動く必要性とは?→コメントで解決済み→アドレスリンク

→・人間の足はむしろシリアルリンク(通常足)ではないのか?

  ・平行リンクのほうがシリアルリンクよりロスが大きいのでは?

とまあ要約でこんな感じです。

最初の質問はコメントで説明したときに人間の足を例に出して平行リンクの可動範囲を説明したのですが、そもそも人間の足がシリアルリンクではないかという質問です。ここでは平行リンクも人間の足に似た機構の一種であることを暗黙の了解とした上で話させて頂きます。

人間の足はシリアルリンクか平行リンクか。この問題単純なようで難しいと思うんですよね。

外見上は明らかにシリアルリンクに見えますが、小学校の理科かなんかで筋肉が縮むとか緩む(伸びるではないんですよ)と習ったはずです。例えば足首を動かすのに少なくともスネの前と後ろの2つの筋肉が動いていると思います。膝も太ももにおいて同様です。また近年は二関節筋という関節を超えて作用する筋肉の存在が、ロボット設計において話題となっています。つまり人間の筋肉は1パーツだけで関節を制御しておらず、また複数関節にまたぐことから、個人的にはむしろ平行リンクに近いものだとも考えているぐらいです。

もちろん外見上はシリアルリンク、その代表例として、人間がしばし足元を見ることもその一例ではないでしょうか。足元を見ることは地理的状況の把握に加え、足の設置点(目標位置)を定めていると考えられます。

どっちつかずな説明ですが正直に言えばこの質問は自分ではまだ結論が出せないです。すみません。

ただ捉え方としては人間の足はシリアルリンクでいいと自分は思います。

2つ目の質問ですが、シリアルリンクのほうが平行リンクより歩幅が稼げず、ロスが大きいのではないか?という質問ですね。

歩幅と出てますからここでは前後方向の動き=ピッチ軸に限定しますね。

一見するとこの言葉は正しいように思えてしまうのですが、ではなぜ平行リンクが流行ったのか、ROBO-ONEとともに足の変化をたどってみます。

初期は単なるシリアルリンク機構でした。ここで重要なのは膝のサーボ数と必要サーボ数(満足に動かせる最低サーボ数)です。初期のシリアルリンクでは膝のサーボは1つ、必要サーボ数は3つでした。この他にもピッチ1、ヨー1のロボットもいましたがここでは省きます。この初期シリアルリンクのころは足の用途は主に移動だけでした。ところが屈伸や横歩きの規定、そしてしゃがみ歩行の流行などもあって膝サーボが1つではパワー、速度が共に足りなくなってきました。

そこで膝ダブルサーボです。膝サーボ数を2つに増やし、膝から上半分と下半分をきっぱりわけたものです。これによってサーボの動く角度を半分で抑えられるようになり、速度、トルクともにアップ出来るようになりました。ただし必要サーボ数が4つ少々々サーボ数が多くなることがネックでした。(重心規定、お財布etc...)

さらにその後、足を前後に動かすことだけに重点を置き、平行リンクが登場しました。

平行リンクは必要サーボ数は2つであるものの、角度のある地面(スロープ等)に足裏を合わせづらいことが難点でした。ただ、平らなリング上で足は歩くだけと割り切り、徐々に平行リンクは増え、今では主流の機構にまで発展しました。

平行リンクはシリアルリンクよりはるかに動きの幅が少ないです。でも足裏が常に水平である上に、腰も水平を保ったまま足が動かせる画期的な機構でした。これにより今まで膝だけにかかっていたトルクは分散され、一時的なトルク不足に陥っても圧倒的な安定度を確保します。これは接地して体重がかかる際に足首サーボが一時的なトルク不足で動いてバランスを崩すことを少なくしました。

てなわけで安定性の確保は大きかったと思いますね~

で、質問のシリアルリンクよりロスが大きいかどうかですが、先ほども書いたように動きの幅は減りました。よってシリアルリンクほど大きく動けないです。ただ重心を低く保つことのほうが重要かなと。ROBO-ONEの規格では通常膝の屈伸角度90°まで認められていますが、歩く時でさえ90°を保つぐらいぎりぎりの低さで歩くあるほどです。そもそも90°に規定されたのはしゃがみ歩行が大流行したからで、倒れることそのものが負けに繋がるROBO-ONEでは、人間と違って低重心を保つことに重きが置かれている気がします。

なので結論はロスはあるが無視出来るレベル、というわけです。

どうしても歩幅が気になるなら脚長をより大きくするか、早く歩いてしまえば変化はありませんから。

質問のコメントにあった通り、安定性と動きの幅を引き替えたというわけです。

ここからは推測に過ぎませんが、軌跡も流行ったことの1つの要因だと思っています。平行リンクはその名の通り平行に動かせるリンク。足首サーボを気にせずに軌跡だけを考えて制御できることは利点だと思います。

最近はさらにチェビシェフリンクで二足歩行ロボットの機構を考えたりした時期もありましたが

「えーマジ チェビシェフリンク!?」

「キモーイ」

「チェビシェフリンクが許されるのは多足までだよねー」

「キャハハハハハハ」

と馬鹿にされたので平行リンクでとどめています。

※上記の会話はイメージです。

軌跡という面ではもっとも歩くのに適している気がするのですが、今度は屈伸ができませんからね。

少なくとも1自由度制御なんて無茶なことはやめたほうがよさそうです。

とここまで脳汁垂れ流しで考察を書いてきましたがいかがだったでしょうか。

過去のROBO-ONEは体重ゲーだった時期もありましたが、いまは高速戦の時代です。

でもそのうち空中戦の時代が来ると信じてるっっっ!!

一般論多めに書くようにしましたが持論もちらほら混じってますので(考察部分はほぼ持論)いつもどおり参考程度に見ることを強くオススメします。

説明口調はあんまり好きではないのですが・・・いや考察だけはいつも説明口調ですね。というか敬語を使うと自然と説明口調になってしまう。お許し下さい。

さて私事ですが、センターまで1ヶ月となりました。ヒュー、ドンドン、パフー

自分の勉強は割と順調ですが、そのモチベーションの源はすべてロボットです!!いや厳密にはそうとも言い切れないけど...

Light用の機体よりもクラスター(SRC機)の設計が進み始めてるそんな現状です←勉強しろww

まあだいぶ長くなりましたが本日はこのへんで